平成19年度岐阜県公立高校一般選抜試験の国語で最も正答率が低かった問題を考察します。
最も正答率が低かったのは、大問三
「次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。なお、文中の驢馬(ロバ)、獅子王(ライオン)は、人間にたとえられている。」 の 問三
「 そのごとく、人の思惑も知らず、懇だてこそ、うたてけれ。 とあるが、人の気持ちも知らず、親切にしすぎることとはだれがどのようにしたことか、現代語で三十五字以上四十字以内で具体的にまとめて書きなさい。ただし、『気持ち』という言葉を使うこと。」
で、正答率は30%と大変低いものでした。
問題文の本文は、病気になったロバのところにライオンがやって来て、ロバの脈をみたり、痛いところがないかどうかと体をなで回したりするので、ロバが恐怖で震えおののいているようすを古文で語ったものです。
この問題の正答例は、
ライオンが、ロバのライオンをおそれる気持ちを考えず、ロバの体をあちこちなで回した
ですが、ロバがライオンに対してどんな気持ちを持っているのかが的確に書けていない解答が多かったようです。問題文は以下のとおりです。
ある驢馬やまひしける(していた)ところに、獅子王来て、その脈を取り(脈をみた)試(こころ)む。驢馬、これをおそるる(恐れる)ことかぎりなし。獅子王、懇(ねんごろ)のあまりに(親切も度が過ぎて)、その身を、あそこここを(あちこち)撫(な)で回して、「いづくか痛きぞ。」と問へば、驢馬謹んで云(いは)く(用心して言うには)、獅子王の御手の当り候(さうらふ)(当ります)ところは、今までかゆき(かゆい)ところも、痛く候。」と、震い震いぞ(震え震え)申しける。
そのごとく(そのように)、人の思惑(おもはく)(気持ち)をも知らず、懇だて(親切にしすぎること)こそ、うたてけれ(感心しない)。大切を尽くす(丁寧に心を配る)といふとも、常に馴(な)れたる(慣れ親しんでいる)人のことなり。知らぬ人に余りに礼をする(敬意を表す)も、かへつて狼藉(らうぜき)(無礼)とぞ見えける。
「伊曾保(いそほ)物語」による。
